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在籍研究者が語りあう「HRI-JPってどんな会社?」

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HRI-JPでの研究内容や働き方について、在籍する研究者たちに現場の視点から聞きました。参加したのは、専門も入社時期もバラバラな3名。それぞれが感じる研究の面白さや、ほかの研究機関や大学と比較したHRI-JPの特長は?

参加メンバー

2010年HRI-JP入社。信号処理、ロボット工学、制御システムが専門。日本出身。

プロフィール

坂田 さち恵

2001年本田技術研究所入社、2017年HRI-JPへ出向。人とのインタラクションを通じて役に立つロボットの研究開発を行う。日本出身。

プロフィール

グエン トゥン

2020年HRI-JP入社。機械学習、強化学習、対話システム、マルチモーダル処理が専門。ベトナム出身。

プロフィール

重視しているのは、人の役に立つものをつくること

Q:HRI-JPで働くことになった経緯を教えてください

中村:2008年にインターンシップに参加したのがきっかけでした。もともと大学ではロボットをやっていたので、HRI-JPでもできればいいなと思って。

坂田:私は、もともと米国のテレビドラマ『ナイトライダー』に登場する「K.I.T.T.」のようなAIの友達をつくりたくて、2001年に本田技術研究所に入社しました。それからずっと人とのコミュニケーションを通じて役に立つロボットに関する研究をしており、2017年、コミュニケーションに関してより深く研究するためにHRI-JPへ来ました。

グエン:私は日本語がほとんど話せないので、2020年に日本で博士号を取得後、英語圏での就職先を探しました。しかしコロナ禍で、海外に行くことすら難しくなってしまって。そこで大学の恩師に相談したところ、HRI-JPを紹介してもらいました。

 

Q:それぞれ、HRI-JPでどんな研究をしているのでしょうか

中村:最初はロボットのセンサー信号処理でしたが、いまはウェアラブルセンサーなどを使った人間の内部状態の推定にメインで取り組んでいます。このプロジェクトは本田技術研究所と一緒にやっていて、自動車やバイクへの応用も視野に入れています。自分の研究が世の中にどう役立つかという出口がよく見えるので、やりがいを感じますね。

坂田:私も、研究を通じて「役に立つ」ものをつくることを重視しています。私たちの身の回りには、すでに便利な機械やシステムがたくさんありますが、高齢者などは使いこなせていないという現状があります。人々の生活をもっと豊かで便利にするため、自らユーザーに歩み寄るようなUIやエージェントをつくりたいと考えています。

その入り口として、人間が気軽に対話できるシステムの研究を行っています。実装したものを研究所の仲間たちに体験してもらい、「面白い」とか「わかりやすくなった」とか反応がもらえるのが嬉しいですね。

グエン:私のテーマは、博士号のときから続けている対話システムです。特に、ホテルや飛行機の予約をしたり、ユーザーの内部状態を理解してそれに影響を与えたりといった、明確な目的を持って対話を行う「目的指向型」のシステムに興味があります。

基礎研究でありながら、社会実装に向けた研究を行う

Q:ほかの大学や研究所と比較して、HRI-JPの特長は?

坂田:ホンダグループは、自動車、バイク、飛行機のほか、芝刈機などまで幅広い分野を取り扱っています。HRI-JPで行う研究も基礎研究でありながら、社会への実装を想定して進めているのが特長だと思います。

中村:そうですね。HRI-JPは、そういった具体的な製品に対して新技術を提供できる一方、将来のために仕込んでおくべき探索的な研究もできます。

坂田:HRI-JPは大学などにも幅広いネットワークがあって、より外部に対してオープンなところも特長だと思います。

グエン:自分で自分の取り組むテーマややり方を決められるという自由な文化があるのも良いですね。かといって放任というわけでもなく、チームを組んで進めることもできる。以前インターンシップで行った日本企業では、研究者がやることはすべてマネージャーが決めていました。HRI-JPはトップダウンの進め方ではないのがユニークです。

坂田:HRI-JPはたしかに研究者の裁量が大きいです。これは大事だと思ったら周囲とディスカッションしながら、新しい研究テーマも提案できる。やらなければいけない仕事がありつつ、他にも面白いプロジェクトがあれば、そっちにも入ったり。その分責任も大きいですが、研究者としての軸を自分でつくることができるのはとても良いと思います。

中村:会社として力を入れるべき研究の方向性はもちろん設定されます。ただ、その範囲のなかで、自分の強みやバックグラウンドも十分活かすことができる。会社の進むべき方向を大切にしつつ、研究者の意向も尊重される風土があります。

利便性・効率性を高めるだけではなく、人間のパートナーになりうるAIを

Q:HRIが柱に据える「Cooperative Intelligence」(人によりそう人工知能)についてどう感じていますか?

坂田:いまのAIやロボットは、「論理的な理系の人がつくっていて、便利だけど冷たい印象」と捉えられることも多いかもしれません。もっとユーザーに身近に使ってもらうためには、ユーザーの気持ちを察するなど、文系的な視点まで含めたアプローチが重要だと思います。

グエン:一般的に、ロボットやAIは、便宜性や生産性の向上などを目的とするものが多いですが、Cooperative Intelligenceはロボットが人間の社会のなかで共存するために必要なものに焦点を当てています。親しみを持ってもらえるロボットなら、人間にもっと近い存在になれると思います。

中村:特にホンダは自動車やバイクという、ユーザーと長く一緒に過ごす、愛着の湧くものをつくっています。人間によりそうAIがそこに搭載されれば、体験を通して信頼を築き、ライフパートナーになれるかもしれません。

坂田:長くロボットの研究をしていますが、ロボットって、ただそこにいても、誰も話しかけてくれないんです。ロボット側から寄り添っていくことが大事だと強く感じています。

グエン:でも、人によりそうということは、本当に難しい。決まった環境での単純な作業であればパターン化できますが、よりそうとなると、まず多様な人間や環境を理解し、さらに人がどう感じるかも考慮しないといけない。これはかなりの難題です。

坂田:ロボット側が同じ行動をとっても、相手の人によって反応が違ったりしますしね。本当に難しいテーマではあるんですが、ユーザーにきちんと使ってもらうためには重要で、避けては通れない研究です。

研究者の希望するキャリアを応援してくれる

Q:研究者としてのキャリアのなかで、HRI-JPで働くことの良さは?

中村:個人の意思を尊重してもらえています。将来的に大学で働きたい人は、在籍中の研究成果を積極的に論文にまとめていますし、ビジネス指向の人は、自分の技術をベースに起業することもあります。研究者のキャリアを考慮し、HRI-JPはその後押しをしてくれますね。

坂田:HRI-JPはユニークな研究が多く、論文を発表する機会に恵まれています。研究トピックの選定の段階で「ユニークさ」がすごく重視されていて、スタート前から他の研究との違いについて深く考えています。

グエン:HRI-JPは基礎も応用もやっているので、どちらの知識も得ることができます。多様性のある経験ができるのは、進路がアカデミアでも民間企業でも、キャリアとして良いのではないでしょうか。

坂田:また、日本のほか、USとEUに拠点があるのも大きな特長のひとつですね。拠点を横断したグローバルなプロジェクトに関わることもあって、他の文化圏のメンバーと一緒に働くのは、すごく良い経験になります。私はHRI-JPに来るまで、英語はほとんど使わなかったんですが、ここでは苦労しながらも、毎日話しています。

海外の研究者と一緒に論文を書くこともありますね。幅広い人脈を築けるので、将来、海外の研究機関に進みたい人にも良い環境でしょう。

中村:逆に、海外の人にとっても、働きやすい環境だと思います。どうですか?

グエン:一般的な日本企業より良い環境だと思います。まず自由度が高い。休日など、労働環境も満足しています。研究以外にも、日本語のクラスもあったりして、自由に行くことができるのは助かっています。また、私は日本語が苦手なんですが、生活のサポートもしっかりしていて、住居探しまで手伝ってもらいました。

同僚はスキルが高くてフレンドリーな研究者ばかり

Q:最後に、HRI-JPの好きなところを教えてください

グエン:私は、この和光の研究所で働けることも気に入っています。ちょうどいい感じにコンパクトにまとまっていて、ちょっと散歩して隣のビルに行くとか。

坂田:一緒に働く仲間が素晴らしいというところも、私にとって大事なポイントですね。HRI-JPの研究者はみんな、スキルが高くてフレンドリーな人ばかりで、意見を求めるとさまざまな視点からアドバイスがもらえます。

中村:そういった横のつながりという意味では、自社のなかにも、また一緒に仕事をする本田技術研究所、HRI-EU、HRI-USにも、さまざまなバックグラウンドを持った人がいます。自分の専門分野には収まりきらない技術も、共創できる土壌があります。

坂田:会社として研究者の意思を尊重し理解してくれるので、ありがたいです。だからこそ期待に応えられるように、頑張らないといけないなと思っています。

HRI-JPがどんなところなのか、雰囲気を感じ取っていただけたでしょうか。採用について興味がありましたら、どうぞお気軽にこちらからお問い合わせください。