コグニティブ・ニューロサイエンス - ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン

コグニティブ・ニューロサイエンス

Cooperative Intelligence

脳の不思議を研究する

身体的錯覚と運動学習

楽器を演奏する、ダンスをするなど、新しい動作を学習する際に、先生の動きをまねて学習することを「見まね運動学習」と呼びますが、この効率を向上させるために「身体所有感転移錯覚」を利用する方法を研究しています。
それは、別の手(マネキンなど)のみを被験者に見せ、その手と本人の手に同時に刺激を与えると、被験者はマネキンの手を自分の手と錯覚するようになる、という現象です。この現象を応用し、「上手にピアノを弾いている手の映像」を自分の手だと錯覚できれば、その弾き方をより早く学習することができるかもしれません。

車幅感覚をVRで測定

車を運転している時は車内しか見えないので、車幅を直接知ることはできません。ドライバーは、運転席からの感覚に頼って車幅を推定し、ぶつからないように車を操作します。
この運転者の脳の中にある車幅感覚を実験的に測定することで、車内のデザインが車幅感覚に与える影響などを研究しています。仮想現実(VR)と心理物理学的手法によって、実車を使った実験では困難な、人の内的な感覚の測定を、効率的かつ客観的に行います。また得た結果を分かりやすく可視化することもできます。

人の脳に近い人工システム

人間の脳は、膨大な数の神経細胞から構成されているネットワーク、神経回路網です。脳内ではさまざまな処理が行なわれ、認知機能や意志、運動機能を作り出されています。
HRI-JPではこの脳内の活動を再現するためのモデル構築に取り組んでいます。特に着目しているのが脳の器官の一つである大脳基底核です。ここでは自律的な神経活動が観測されています。また機能的には知覚と行為を連合学習によって結びつけている部位と考えられています。この大脳基底核における信号の異常振動が原因で起きるとされるパーキンソン病について研究し、サルやネズミの脳などの生理学的な機構を取り入れた神経回路網モデルを構築、シミュレーションを行いました。またこの脳の振動がどうやって身体の振動へと伝わっていくかも研究しています。

被験者にはゴーグルに映し出されたCGの手だけを見せ、両方に同じ刺激をあたえ続けると、あたかもCGの手が自分の手のように錯覚する、ラバーハンド錯覚。これを利用して、見まね運動学習を効率化できるかもしれません。